結晶の面と方向の記述方法

これまで、結晶構造の定義や対称性について述べてきました。この節では、結晶の方向や面の記述方法付いて学びます。図2.3に示すように結晶の方向を表現する場合は、その結晶を特徴づける基本ベクトル $\vec{a}, \vec{b}, \vec{c} $に対して目的方向の座標$[u, v, w]$を用いて、そのベクトルが $\vec{R}=u\vec{a}+v\vec{b}+w\vec{c}$と表されるとき、その方向を$[uvw]$と書かれます。従って、$[111]$$[222]$ $[\frac{1}{2}\frac{1}{2}\frac{1}{2}]$は全て同じ方向を指し示すが、その場合それ以上約分できない最小の整数の組み合わせ(この場合$[111]$)で表す決まりとなっています。なお、立方晶においては$a, b, c$軸が等価なので、$[111]$ $[\overline{1}\overline{1}\overline{1}]$の方向も等価です。これらをまとめて表す場合は$<111>$という表記を用います。

図 2.3: 結晶の面と方向
\includegraphics[width =.75\linewidth]{slide12r3.epsf}

結晶の面については、ミラー指数が用いられます。これは格子定数$a, b, c$に対して各軸と $\frac{a}{h}, \frac{b}{k}, \frac{c}{l}$の位置で交わる点を結んでできる面を$(hkl)$と表します。六方晶の場合は方向、面ともに、指数$i$を導入したミラー・ブラベー指数により表されます(図2.4)。

図 2.4: 結晶の面と方向(六方晶)
\includegraphics[width =.75\linewidth]{slide13.epsf}



Hitoshi TAKAMURA
2017-01-06