逆格子の構築と性質

実格子の基本ベクトルと逆格子の基本ベクトルには図3.2の関係があります。このとき、実格子の基本ベクトルはプリミティブ単位胞のものを用います(例えば面心ではなく菱形)。

図 3.2: 逆格子の構築
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3.3には、この操作によって得られる逆格子がもつ性質をまとめます。

図 3.3: 逆格子の性質
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逆格子への変換に用いる逆格子のベクトルはプリミティブ単位胞の組を用いると述べましたが、それは何故でしょう?図3.4には仮想的に2次元の面心格子とみなせる単位胞(単位胞中に2個の原子)とプリミティブ単位胞(菱形;単位胞中には一つの原子)の取り方を示しています。 各々の基本ベクトルを用いて図3.2の関係で計算した逆格子ベクトルを図3.5に示します。面心格子の基本ベクトルから計算された逆格子では逆格子基本ベクトルの指し示す場所に格子が存在しません。1.2節などで述べたように格子の取り方は任意ですが、この場合はあきらかに誤りです。その理由を考えてみましょう。

図 3.4: 格子の取り方の違いによる逆格子の違い(1/2)
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図 3.5: 格子の取り方の違いによる逆格子の違い(2/2)
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さて、変換された逆格子ともとの実格子にはどのような関係があるのでしょうか?重要な帰結として、図3.6に示される関係があります。この関係は次節の回折のところで利用します。

図 3.6: 逆格子と実格子の関係
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Hitoshi TAKAMURA
2017-01-06