電子回折パターンの解析手順

  1. 逆格子の作成
    逆格子の基本ベクトルは、実空間での単位胞を示す基本並進ベクトル$a, b, c$より、次式によって得られる。


    \begin{displaymath}
a^*=\frac{b\times c}{a\cdot (b\times c)}, b^*=\frac{c\times a}{b\cdot (c\times a)}, c^*=\frac{a\times b}{c\cdot (a\times b)}
\end{displaymath} (6.1)

    ここで、$a^*,b^*,c^*$は、それぞれ、bc面に垂直、ca面に垂直、ab面に垂直である。また、$\times$はベクトルの外積の演算を示し、各項の分母は単位胞の体積に等しい。
    特に、立方晶、正方晶また斜方晶では、実格子の基本並進ベクトル$a, b, c$はお互いに垂直であり、$a^*,b^*,c^*$$a, b, c$にそれぞれ平行で、その長さは、


    \begin{displaymath}
a^*=\frac{1}{a}, b^*=\frac{1}{b}, c^*=\frac{1}{c}
\end{displaymath} (6.2)

    となる。

  2. 回折パターンの強度分布の評価

     1.で作られた逆格子の格子点$(hkl)$でどのような回折強度をとるかは、単位胞内の原子配列で決定される。その散乱振幅$F(hkl)$(実際観察される強度は $F(hkl)^2$である)は、単位胞内の原子の種類とその座標から、構造因子を計算することにより求められる。つまり、


    \begin{displaymath}
F(hkl)=\sum_n f_n e^{-2\pi i(hx_n+ky_n+lz_n)}
\end{displaymath} (6.3)

    となる。ここで、$f_n$はn原子の原子散乱因子で、$(x_n,y_n,z_n)$はn原子の単位胞内での座標である。構造因子は、単位胞内の総ての原子について式(6.3)の和($\sum_n$)を求めることによって表される。ここで得られるものは、運動学的近似での散乱振幅であり、実際の電子回折パターンの強度を解析するには、動力学的回折効果を考慮しなければならない。なお、回折法により構造解析を実施する場合、X線や中性子を用いた場合にも同様の構造因子を求める必要があるが、図6.3のように、原子散乱因子の散乱角依存性が大きく違ってくることに留意したい。

    図 6.3:
    \includegraphics[width =.75\linewidth]{s14.epsf}



Hitoshi TAKAMURA
2017-01-06