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結晶からの回折

前節では、散乱体の配置に特に制限や規則はなく、$\vec{r_n}$$\vec{q}$の内積が重要な因子でした。それでは、波が周期的な構造をもつ結晶に入射した場合はどうなるか考えてみましょう(図3.10)。結晶では、散乱体の座標が $R_{pqr}=p\vec{a}+q\vec{b}+r\vec{c}$であるため、 $\vec{r_n}=\vec{R_{pqr}}$と表せます。ここで、さらに逆格子と実格子の関係、すなわち $\vec{g_{hkl}}\cdot\vec{R_{pqr}}$=整数という関係を用いると、 $\vec{q}=\vec{g_{hkl}}$となります。この式が意味するところは散乱ベクトルが逆格子ベクトルと一致するときに強い回折が起こるということです。

図: 結晶からの回折
\includegraphics[width =.75\linewidth]{slide2-10.epsf}

この関係式の両辺の絶対値をとると $\vert\vec{q}\vert=\vert\vec{g_{hkl}}\vert \rightarrow \frac{2sin\theta}{\lambda}=\frac{1}{d_{hkl}} \rightarrow \lambda=2dsin\theta$となりブラッグの法則が得られます。


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D. Shindo, T. Konno and H. Takamura
2006-12-04