結晶における方向や面は3次元空間で定義されるものですが、その分布を世界地図と同じように2次元で表現する方法が種々提案されています。その一つにステレオ投影と呼ばれる方法があります。その方法を図2.7を用いて説明します。
これは、まず着目する結晶を中心に配置し、それを取り囲む球(参照球)を考えます。中心に置かれた結晶の面の法線は必ずこの参照球上のどこかと交わります。この点を極と呼びます。一つの面に対して、必ず一つの極が定義できますが、まだこの状態では結晶の面の位置・方位関係を3次元(地球儀のようなもの)で表しただけです。ここで、参照球のある極に平面を考えます。参照球上にちりばめられた点(極)をこの平面に投影したいのですが、ステレオ投影では、平面を置いた極の反対側の極からの投影を行います。このステレオ投影により、参照球上の平面を置いた側にある半球上の極は投影面にほぼ等倍で投影されます。
図2.8には、参照球上の緯線と経線を投影した図を示します。これはウルフネットと呼ばれ、ステレオ投影図の解析(任意の面と面がなす角度を求める)に必須です。