これまで、結晶構造の定義や対称性について述べてきました。この節では、結晶の方向や面の記述方法付いて学びます。図2.3に示すように結晶の方向を表現する場合は、その結晶を特徴づける基本ベクトル に対して目的方向の座標を用いて、そのベクトルが と表されるとき、その方向をと書かれます。従って、や、 は全て同じ方向を指し示すが、その場合それ以上約分できない最小の整数の組み合わせ(この場合)で表す決まりとなっています。なお、立方晶においては軸が等価なので、や の方向も等価です。これらをまとめて表す場合はという表記を用います。
結晶の面については、ミラー指数が用いられます。これは格子定数に対して各軸と の位置で交わる点を結んでできる面をと表します。六方晶の場合は方向、面ともに、指数を導入したミラー・ブラベー指数により表されます(図2.4)。