さて、結晶構造は格子とその中に存在する原子の基本構造の組み合わせで定義されることは1.4節で述べました。また、格子は7結晶系、14ブラベー格子で表され、32の点群に分類されることも述べました。原子の基本構造も加味する場合、らせん軸や映進面と呼ばれる並進を伴う点対称操作がさらに加わる結果、14ブラベー格子との組み合わせにより、結晶構造は230のグループ(空間群と呼ばれる)に分類されます。この230の空間群が結晶構造を分類する上で必要かつ十分な枠組みであり、それは、International Tables for Crystallography vol. Aに全て収録されています。
図2.2には、単斜晶系に属する一つの空間群の情報を示します。この図には、その結晶が有する対称操作が記号などで示され、その格子中で原子が存在できる位置や回折の起こる条件などが詳しく記載されています。