この講義では「結晶」とそれにX線や電子線を入射した際に生じる「回折現象」を取り扱います。 結晶とは、図1.1に示すように、周期的な原子配列を有する固体を指します。図1.1(左)には、アルミニウムや銅などの金属原子の並び方を示します。この結晶は、図1.1(右)に示すように、ある基本構造の繰り返しによって作られていることが分かります。ここで、この基本構造を単位胞と呼び、この単位胞の大きさだけ原子を移動したときに、移動する前と区別のつかない状態が再現されます。これを並進対称性と呼びます。すなわち、結晶とは、単位胞とその並進対称性から特徴づけられる固体と言えます。
単位胞の取り方、すなわち繰り返しの基本構造の取り方には、幾つか、考え方によっては無限の可能性がありますが、次にそれを見てみましょう。