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酸素吸放出セラミックス

自動車の排気ガスにはNOxやCO, CHxなど有害物質が含まれ、そのまま放出すると大気を汚染してしまいます。そこで、これらの有害物質を触媒で分解·浄化するのですが、その浄化率を高く保つためには周囲から取り入れる酸素の比率を精密に制御する必要があります。そのため、酸素を吸放出するセラミックスが触媒の下地に用いられています。

排ガス浄化のための酸素を吸放出するセラミックス

代表的な酸素吸放出セラミックスであるCe-Zr系酸化物では、Ceイオンが価数変化することで酸素を吸放出します。排気ガスが多い場合(還元雰囲気)は気相中に酸素を放出し、空気が多い場合(酸化雰囲気)には気相中の酸素を吸蔵します。しかし、この化学反応は低温では十分に進まず、排ガス中の有害物質を効率よく除去できません。そこで、低温でもレスポンス良く大量の酸素を吸放出できるセラミックスの開発を進めています。ガスとよく反応するセラミックスは、排ガス浄化装置だけでなく固体酸化物型燃料電池やガス分離装置にも必要とされているので、近年特に重要な開発課題となっています。

Ce-Zr系酸化物の酸素吸放出に伴う重量増減の様子

最近の発表論文

  • Y. Tomura et al., Phys. Rev. Mater. 3(12) (2019) 125802.
  • Y. Cho et al., Chem. Mater. 31(8) (2019) 2713-2722.