複素フーリエ級数展開とフーリエ変換

前節のフーリエ級数展開は、オイラーの公式( $e^{i\theta}=cos\theta+jsin\theta$)から複素フーリエ級数展開として表現することができる。


\begin{displaymath}
x(t)=\sum_{n=-\infty}^{\infty}c_ne^{jn\omega_0t}
where,
c_n=...
...{T_0}\int_{-\frac{T_0}{2}}^\frac{T_0}{2}x(t)e^{-jn\omega_0t}dt
\end{displaymath} (4.5)

ここで$n\omega_0$は離散的($\omega_0$, 2$\omega_0$, 3 $\omega_0\cdots$)であるが、基本角周波数 $\omega_0\rightarrow 0$の極限で連続的な角周波数$\omega$と考えることができ、 $X(\omega)=c_nT_0$と置くと、


\begin{displaymath}
X(\omega)=\int_{-\infty}^\infty x(t) e^{-jwt}dt
\end{displaymath} (4.6)

を得る。この式(4.6)の操作をx(t)のフーリエ変換と呼ぶ。ここで、tはs、$\omega$はその逆数の$s^{-1}$の次元であることに注意。

ここで、フーリエ変換の例を図4.1及び図4.2を用いて説明する。図4.1には周期関数f(t)=sin(t)(赤線)、g(t)=sint(2t)+$\frac{1}{2}$sin($\frac{t}{2}$)(青線)を示す。f(t)は時間t(s)の単純なsin関数であり、g(t)はそのsin(t)の2倍の周期と半分の周期(振幅も半分)の重ね合わせである。図4.2に両者のフーリエ変換結果を示す。横軸は時間の逆数である周波数fで示されている。sin(t)の周期は2,000(s)(0.5 mHz)であるが、フーリエ変換の結果、sin(t)(赤線)では0.5 mHzに、周期2tと$\frac{t}{2}$の重ね合わせでは0.25 mHzと1.0 mHzに急峻なスペクトルが得られている。このとき、縦軸にはもとの関数の振幅の情報も含まれていることに注意する。

図 4.1: 周期関数f(t)とg(t)
\includegraphics[width =.75\linewidth]{fft01.epsf}

図 4.2: f(t)とg(t)のフーリエ変換
\includegraphics[width =.75\linewidth]{fft02.epsf}



Hitoshi TAKAMURA
2017-01-06