格子の分類

それでは、その取り方に任意性のある格子についてより詳しく見ていきましょう。図1.5には、1次元及び2次元の周期構造を模式的に示しています。1次元の例として原子が間隔aで並んでいる場合を考えます。その間隔aが一定なので、格子点は、 $\vec{R}=l\vec{a}$、ここに$l$は整数です。格子点は原子の位置に限らず、その中間地点でもいいですが( $\vec{R}=l\vec{a}+const.$)、繰り返しの最小単位(この場合$a$)は格子定数と呼ばれます。

図 1.5: 格子の分類
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その下には種々の2次元格子を示します。平行四辺形、長方形、長方形の面心位置に原子を配置した構造(仮に面心長方形と呼ぶ)、正方形、六方形で色々な形、大きさの格子を取ることが可能です。平行四辺形、長方形、正方形ではそのプリミティブ単位胞を格子とするのが適当であることは容易に考えられますす。それぞれの単位胞を記述するためには、a, bなどの大きさに加えてそれらの角度を規定する必要があります。さらに、面心長方形と六方形では注意が必要です。面心長方形では、2種類の格子の取り方を示しています。

この形は単に長方形の面心位置に新たな格子点が発生したと考えて長方形と同じ大きさ・形状の格子を取ることも可能です。しかしこれはプリミティブ単位胞とはなりません。この場合のプリミティブ単位胞はひし形になります。当然、異なる単位胞を記述するためには異なる格子定数の組が用いられます。この関係は、図1.2でみた面心立方格子とそのプリミティブセルの関係を2次元で表現したものと言えます。また、六方形のプリミティブ単位胞も菱形が基本となります。六方形では格子点を結んでできる三角形及び六角系は格子の構成要件を満たさないことを理解しましょう。



Hitoshi TAKAMURA
2017-01-06