単相ルチル型TiO2薄膜のガラス基板上作製に成功
単相ルチル型TiO2薄膜のガラス基板上作製に世界で初めて成功しました。
本成果により、反射防止膜や高反射誘電体ミラーなどの光学薄膜の高性能化が期待されます。
本成果は国際学術雑誌Applied Surface Scienceに掲載されます。
http://authors.elsevier.com/a/1R1LHcXa~c0FT
(2015/7/3までフリーアクセスできます)
背景
反射防止膜や高反射誘電体ミラー等として利用されている光学薄膜は、より高い屈折率を有する透明薄膜によって高性能化することが出来ます。
それ故、透明材料中で最も屈折率が高いルチル型TiO2の薄膜化が望まれていますが、それには700°C以上の高い成膜温度が必要です。
この理由で、ガラス基板上に単相ルチル型TiO2薄膜を作製することはこれまで不可能でした。
成果の内容
このような背景から、ルチル型TiO2薄膜の新たな作製プロセス及び条件を探索しました。
その結果、パルスレーザー堆積法により高真空中で室温下成膜し、その後大気中で熱処理することで、単相ルチル型TiO2薄膜がガラス基板上に作製できることを発見しました。
この成果の一部は、昨年の日本金属学会で発表で発表しています。
感想
この研究は、僕が学部4年生の時に行っていたものです。
当時は右も左もわからず研究していましたが、この様に学会発表や論文発表できるような成果を得ることができて非常に幸運でした。
何もわからなかった僕に実験方法を一から教えて頂いた、論文の共著者でもあるOGの中村洋子さん(現 三菱日立パワーシステムズ株式会社)に感謝申し上げます。
また、同じく共著者である及川助教授と亀川准教授(現 室工大教授)には、何度も夜分遅くまで議論に付き合って頂きました。沢山のアドバイスに感謝致します。
最後に、責任著者の高村教授に感謝いたします。高村先生無しには、この成果は得られませんでした。この研究にまつわる先生との一番の思い出は、僕がPLD成膜チャンバーに基板ホルダーを落としてしまって、先生にご迷惑をおかけしたことです。先生が成膜チャンバーに左手を突っ込んで下さっている様子は忘れないと思います。
他にも、研究室OBOGの皆様や、工学研究科技術部の皆様にも多大な貢献を頂きました。本当にありがとうございました。
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