プロトン伝導性セラミックス
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地球温暖化や大気汚染問題の根本的な解決のため、化石燃料でなく水素をエネルギー源として活用した水素エネルギー社会が待たれます。その実現には、固体酸化物形燃料電池 (SOFC) のさらなる普及や、その逆作動により電力で水素を高効率に製造する高温水蒸気電解セル (SOEC)の実用化が鍵となります。
従来より開発進められているSOFCとSOECは酸化物イオン (O2-) 伝導性セラミックスからなっており、作動温度が約750°Cと高く耐久性やコストに課題があります。そこで、近年プロトン (H+) 伝導性セラミックスからなるSOFC・SOECの開発が進められています (下図)。プロトンは酸化物イオンに比べ低温でも動きやすいため、500°C程度で作動できると予測されます。
本研究グループでは、超高圧発生装置などにより新しいプロトン伝導性セラミックスを合成し、量子力学に基づく理論計算や核磁気共鳴分光法により伝導メカニズムや原子レベル構造を解析しています。酸化物イオン伝導性セラミックスの作動温度低減に向けた研究開発も継続して行っています。
最近の発表論文
- H. Kawamori et al., Chem. Mater. 33(15) (2021) 5935-5942.
- Y. Tomura et al., Phys. Rev. Mater, 3 (12) (2019) 515108.
- H. Takahashi et al., J. Phys. Chem. C 122(12) (2018) 6501-6507.